参院選についての雑感(備忘録のようなもの)

・日経「経済教室」にも書いたことだが、本来、政権をきめる衆院選でないぶん、参院選は野党に有利なはずである。ところが、今回は、政権に対する「評価の選挙」ではなく、自公対民共の「選択の選挙」だと位置付けられた。安倍首相(およびその側近)の徹底した演出がうまかったこともあるが、それに対抗するレトリックや戦略のない民進党は選挙キャンペーンの実力という意味ではるかに劣っていた。その差がそのまま結果に表れていた。

・共産党が候補者を出さなかったことが、民進党(ないし野党統一)候補に有利に働いたかどうかが話題になっている。しかし、純粋に理論的な仮定として有権者が「戦略投票」をすると想定すると、共産党の候補の有無は結果に影響を及ぼすはずがない。共産党との連携・共闘が、それ以外のどのような外部効果を生んだかが分析されるべきことであり、ボクの直感ではそれは、おそらくは「負」の効果の方が大きかったのではないかという気がする。

・安倍首相が、憲法改正を選挙期間中まったく語らず、しかし終わった途端に「これから議論していきましょう」といっていることに、批判がある。しかし、野党の側は、選挙期間中、まさにこうした可能性を取り上げて、「安倍さんは選挙が終わったあと、憲法改正へ進む」と有権者に訴えていたのだから、この批判はおかしい。

・18歳まで選挙権が引き下げられたことについて、選挙前にさまざまなメディアや雑誌媒体が、「18歳有権者へのメッセージ」なるものを特集し、「選挙に行け」キャンペーンを張っていた。しかし、こうした「上から目線」の特集に、ボクはおおきな違和感を覚えた。18歳の人たちに選挙権を与えると決めたのだから、彼らはすでに一人前として扱われるべきである。なぜ、彼らだけが選挙についての教育なり啓蒙をうけなければならないと決めつけるのか。80歳以上の高齢者にむかって、「あなたたちすこし選挙に行かないでください」なんてメッセージを送ることがありえないのと同じである。

・前項と関わるが、こうした特集は、ただたんに「選挙にいこうよ」と強調し、それがあたかも教育的なメッセージ、すなわち、非政治的なメッセージだから許されると勘違いしている。ここには、政治的メッセージをおくるのは控えよう、なぜなら政治とはうさんくさいもの、というような暗黙の前提があるように思える。本来おくるべきは、政治を語ることは悪いことではない、というメッセージなのである。

・出口調査の結果をみると、この18−19歳の有権者が自民党に投票する率が高い、ということが話題になっていた。アメリカの友人に話すと、アメリカの大学生はみんなバーニー・サンダース、つまりリベラルな候補者を応援しているので、このコントラストが面白い、といっていた。実は、ボクは日本の若者の中にもリベラル派の方が多いと思っているのであるが、おそらく彼らは日本の既存の(リベラルを代表する)政党に幻滅しているだけではないかという気がする。別にこのことについてボクには根拠があるわけではないが、しかし日本の若者が保守回帰しているという反対の議論にも、実証的にはほとんど根拠らしい根拠は提出されていないと思う。

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