現下の政治状況についての備忘録

最近、あまりに忙しくて、現実政治の動向を追う余裕がなかったのだが、ある理由により、自分の考えをまとめる必要ができたので、論点をまとめてみる。

  • 安倍晋三首相の任期は6年、すなわち2018年9月まで。仮に(党のルールを変えて)任期延長が行われないとすると(おそらく、延長はないものと考えてよいと思うが)、この間に行われる参議院議員選挙は今年の夏の選挙が最後である。
  • ということは、もし本当に憲法改正をしようとするのであれば、この参院選がもっとも重要な選挙だ、ということになる。衆院は解散できるが、参院は解散できない。
  • 安保法制を強行したことによって、一時的にではあるにせよ、安倍政権は大きく支持率を低下させた。では、なぜそこまでして、安保法制を強行したのか、という疑問が浮かぶ。
  • 安倍は、支持率低下が一時的で済むということを、あらかじめ予見していたのか。確かに、野党がここまでどうしようもなく体たらくな状況はない、ということからすれば、一時的に政治的コストを払うことをためらわなかった、ということも考えられる。実際、低下した支持率は、すでに戻ってきている。しかし、たとえコストを支払ったとしても、安倍にはより大きく得るものがあったのではないか、という可能性も否定できない。端的にいえば、そこには、安保法制が他のどのような政策課題よりも脚光をあびることにより、野党は反安保法制でまとまる戦略をとらざるを得ない、という読みがあったのではないか。民主と共産との連携を、安倍はむしろ「術中にはまった」とでもいわんばかりに、喜んでいるように思える。
  • 甘利大臣の辞任について。政権の中枢をになっていた甘利の辞任が、まったく政権の安定を損なう影響を及ぼしていないことは、興味深い。すでにTPP 交渉がまとまっていた、というタイミングの幸運にめぐまれたこともある。しかし、それよりも大きいのは、現在、こうした重要閣僚のスキャンダルが起こったとしても、それを野党が正面から攻撃できないという戦略的環境があるように思える。すなわち、そのような批判は、「野党は、スキャンダルを批判することしかできないのか」というような反応を生むのではないか、ということである。
  • 安倍政権の残した大きな負の遺産としては、内閣法制局のあり方を大きく変えてしまったこと(あるいはその信頼を大きく損ねたこと)、そしてメディアへの介入がある。この二つは、構造的、すなわち今後長くツケを負うことになる影響を残した、ということができる。
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