Missing Translationあるいは外務省の非常識について

アメリカから一週間ほど日本を訪れている共同研究者との作業中、先だって国会を通った安全保障関連法の英語版を彼が読みたいということになった。それで、いろいろなキーワードで検索してみるが、いくら探してもネットではでてこない。この法律の背景説明とか、要約とか、それについて書かれた新聞記事は山ほどでてくるのに、肝心の法律そのものの訳が見つからないのである。

しょうがないので、ボクが外務省に電話して聞いてみることになった。すると電話口の女性は「ちょっとお待ち下さい」という。しばらくして「お待たせしました、それはホームページの・・・」というので、ボクは「いやいや、そこにあるのは概要でしかないですよ、法律そのものは載っていないですよ」と、こちらから教えてあげる。(このへんで、もうすでにイライラ。)

さらにしばらく待たされた挙句、彼女は「いま、担当の者に確かめたんですが、翻訳はまだ作っていませんとのことです」。はあ?「じゃあ、どうやって安倍さんは、オバマさんに説明したんですか?」「それは、概要をつかってですね・・・」、「あのね、そんなことあるわけないでしょ。法律の訳文を、アメリカ政府に見せないわけないでしょ」、「・・・」、「すみませんけど、その担当者に代わってくれませんか」。

電話にでた男性の担当者は、「作ろうとしてるんですが、まだ作れてないんです」という言い訳をする。「あ、そうなんですか」。この時点で、もう呆れ果て、共同研究者との時間がなくなるのがもったいないと思って電話を切った。

あのねえ、外務省さん、英訳ぐらいつくって公開するのが常識ってもんでしょ。いや、本当は翻訳がないわけないんだよね。アメリカに説明するための非公式の訳は、作ったんでしょ、ちゃんと。そこまで非常識っていうか、無能じゃないよね、いくらあんたたちだってさ。

ただ、いまは、ボクらのような問い合わせに、後になって日米間でニュアンスが違うなどと、つっこまれないように、公開するのを臆病になっているだけなんだよね。

いったい、誰をみて仕事してんだろうね、あんたたち。翻訳がありませんという非常識が主権者に対してまかり通ると思っている、二重の意味での非常識だよ、あんたたち。

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