リユニオンでの会話

かつてスタンフォードで一緒に勉強した仲間たちと、サンフランシスコで食事をした。アメリカ政治学会で、久しぶりにみんなと顔をあわせることになった。場所は、ミッションディスクリト。サンフランシスコには美味しいレストランがひしめくが、中でも、いまいちばんトレンディな地区である。しかも予約をとりつけるのが難しい人気のイタリアンのひとつ、Locanda。557 Valencia Street。

会話は、メガネの話から始まる。それぞれ老眼が進んできて、「どうしてる?」、「この前、はじめてバイフォーカルを作った」、「それにしても、進行、早いよね」、「私はコンタクトを前提、リーディングのためのをかけることにしている」、などなど。あまりにdepressingな内容なので、「この話題はやめよう」ということになった。

次は、子供の名前の話。「アイザックは、珍しい名前かと思ってつけたら、いまクラスに必ずほかにもひとりはいるんだよね」、「聖書に由来する名前は、一般的に、最近、増加傾向にあるみたい」。ボクが、アイザックが聖書に由来する名前と知らなかったというと、「アイザックは、たしか聖書の中でももっとも有名なトップ10の逸話のひとつに出てくる」、「エイブラハムの子供かなんかだよね」とおしえてくれる。「ああ、旧約聖書のほうね」。ボクは、旧約聖書は読んだこともない。「そうそう、わりとはじめのほうに出てくる」、「神への捧げ物にされるんだったね」などなど。子供の名前の話題から、一転して教養的になっていき、話が広がる。

続いて、すこしワインが回ってくると、昔の同僚やかつての先生たちの近況へと話題は移っていく。「⚪⚪は、卒業してすぐにロースクールにいって、学術の世界をやめちゃったよ」、「△△は、結局博士を取れなかったみたい」、「××は、つい最近、小説家としてのデビューに成功した。知ってた?ニューヨークタイムズのレヴューで取り上げられていたよ」。これには驚いた。「すごいねえ、ボクのこと、覚えているかな」、「もちろんだよ、連絡とってあげたら、喜ぶと思うよ」。で、実際、その夜、ホテルにもどってから早速連絡をとって、旧交を温めることができた。そういう意味では、いまは便利な世の中である。

というわけで、これらの友人たちは、ボクの人生の宝ものである。あと何回、こうしてみんなで揃って食事をすることができるかと思うと、「一期一会」という言葉の重みが身にしみる。「このへん、少し歩いてから帰ろうか」と、他にも賑わっているレストランをひやかしたり、すでに閉店したウィンドーを覗き込んだりしながら、ぶらぶら。「ここで、古着の革ジャンをかったら、それがとってもよかった」、「ここの落書き、どれもすごいねえ」。本当だ。思わず立ち止まって、見入ってしまう。「フレームつけたら、そのまま、全然、売れそう」。

最後は、当地にすんでいる友人が、みんなをホテルまで送り届けてくれた。

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